マルヤ通商株式会社
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塗装失敗の原因と対策2

塗装中・塗装後に起こるトラブル、その原因、対策、処置を解説します。

ペーパー目開き
パテ、サーフェサー、旧塗膜を研磨したペーパー目が、上から塗装された塗料の溶剤などで膨潤し、上塗り表面に現れる現象。
 
ペーパー目の開き
 <原因>

・工程に適したペーパーより荒いペーパーを使用した。
・下塗り塗料を十分乾燥させずに研磨し、上塗りをした。
・粘度の低い塗料を一度に厚塗りした。

 <対策>

・それぞれの工程に適したペーパーを使用する。
・下塗り塗料を十分に乾燥させてから研磨する。
・塗料はメーカーの仕様書に従って適性粘度にし、適当な間隔をあけて、3〜4回に分けて薄く塗り重ねる。

 <処置>
・軽度の場合は、コンパウンドやポリッシングで修正する。
・ひどい場合は、水研ぎし、再塗装する。


ピンホール
ピンホールは、塗装面に針でついたような、小さな穴を生じる現象で、主に塗装後および乾燥後に生じる。
 
ピンホール
 <原因>

・塗料とシンナー、気温とシンナーの選定を誤った。
・塗料の粘度が高いか、または極端に厚塗りをした。
・下塗りの塗膜に、すでにスアナが生じている。
・攪拌不十分なサーフェサーの顔料沈殿の多い底部を、無理にシンナー希釈して使用した。
・塗装直後に急激な過熱をした。
・下塗り塗料の乾燥が不十分で、上塗り乾燥をした。
・吹き付けの圧が高すぎる。
・上塗り前の下地表面の清掃が不十分。
・塗装用のエアー内のドレン水分。

 <対策>

・一度に厚塗りをせず、フラッシュオフタイムを十分にとる。
・加熱乾燥は、十分にセッティングタイムをとるか、徐々に温度を上げていく。
・下地は、なるべく良質のシンナーを使用して、ウェット気味に塗装する。
・塗装用のエアー内の油や水を完全に除去する。
・シンナーは、温度によって適正なものを選択する。

 <処置>
・軽い場合には、十分研磨してから再塗装する。
・大きく深く、全面にピンホールが出た場合は、剥離してから再塗装する。
ピンホールのイメージ


ツヤ引け
時間の経過とともに、吹きつけ時の光沢が落ちてくる現象。
下塗り塗料に吸い込まれてツヤ引けを起こす場合や、塗膜が乾燥不十分のときにコンパウンド磨きをしたために発生する場合がある。
 
ツヤ引け
 <原因>

・正しいプラサフの塗装が行われていない(品質の悪いシンナーの使用、攪拌不十分、不適当なシンナー希釈比、プラサフのドライスプレー、厚塗り、乾燥不十分で上塗りした場合)。
・湿度が極端に高い。
・上塗り塗料のシンナー希釈が多く、膜厚が薄い。
・二液型塗料の硬化剤(ハードナー)が少ない。
・塗装後の乾燥が不十分のままコンパウンド磨きをした(ツヤを出した表面が、残留溶剤の蒸発により元に戻ってしまう)。
・旧塗膜がアクリルラッカーで、高温加熱乾燥させた。
・ひどいチョーキングを起こしている旧塗膜に、上塗り塗装した。

 <対策>

・上塗りに適した下地塗料を正しい工程で塗装する。
・上塗り塗料の指定シンナーで、気温や湿度に注意して使用する。
・塗膜が完全に乾燥するまで、雨や夜霧がかからないようにする。
・塗膜に、溶剤のにおいが残っている間は、コンパウンドがけしない。



ブリスター
塗装後数ヶ月して塗膜に大小のふくれ(持ち上がり)を生じる現象。
下塗り塗料に品質の悪いシンナーを使用すると乾燥が速く、冷却作用で水分が凝縮して発生する。





ブリスター
 <原因>

・耐水性や密着性の悪い下地塗料、上塗り塗料を使用。
・各工程での清掃不足(サビ、研ぎカス、汗、手の脂、水アカ)。
・アルコール系シーラーを使用(気象条件によって水分が混入しやすい)。
・剥離剤で剥離した後の水洗いや脱脂が不十分。塗装面の水分除去が不十分。
・ポリパテなどの硬化剤が適量でない(パテ付け部分のブリスター)。


@鉄板面に水に溶けやすい成分(サビ、研ぎカス、汗、手の脂、水アカなど)が残ったまま塗装する。↓

A長雨などが続くと、水分(水蒸気状態のもの)が塗膜の中にしみ込む。↓

Bこの水分が水可溶分に集まり、溶解する。↓

Cさらに、周囲の水分も集めるようになり、次第に大きくなってくる。↓

D長雨が終わり、天気がよくなると温度も上がり、水分が蒸発しようとして上に上がってくる。このため、ブツブツとしたふくれがたくさん生じる。

 <対策>

・コンプレッサーからのエアーに含まれる油分や水分は、冷凍式ドライヤーや空気洗浄器を設置して絶えず完全除去に努める。
・プラサフを水研ぎした後は、自然乾燥は避けて、強制乾燥の習慣をつける(冬季や湿度の多い日は特に注意すること)。
・剥離後の水洗い、脱脂を十分におこなう。また、鉄板面のサビは完全に取り除く。
・ 塗装前には、汗や指紋を塗膜に付けない(夏季は特に注意)。
・下塗り塗料は上塗り塗料には、良質のシンナーを使用する。
・塗装面を十分に乾燥させる。

 <処置>
・ひどい場合には、剥離して再塗装する。
・軽い場合は、ブリスター部分を研磨して、再塗装する。

<異物>          <油分>         <研ぎカス>
異物    油分    研ぎカス


シミ・ウォータースポット
塗膜表面は一見ガラスのようだが、顕微鏡で見れば凹凸があり、一部には穴(多孔質)、へこみがある有機物(プラスチック)や無機物(顔料)で形成されている。その表面に酸性・アルカリ性物質、水、溶剤、鳥のフン、樹液、手入れの際のコンパウンド、ワックスを長時間付着させておくと、時間の経過とともに、塗膜を傷めたり、固着して変色(汚れ)したりする。
 
シミ・水あと(ウォータースポット)
 <原因>

・塗膜が乾燥不十分で、雨や霧などが付着。
・鳥の糞、樹液、ガソリン、錆鉄粉、セメント(コンクリート)粉、洗剤などが付着したままでの使用、高温下での長時間放置。
・酸性剤の使用。

 <対策>

・塗膜が完全に乾燥するまで、雨や夜霧がかからないようにする。
・塗膜に異物や水が付着していたら拭き取る。
・アクリルラッカーの厚塗りを避ける。
・不適当なリターダーを大量に使用しない。

 <処置>
・軽い場合には、コンパウンドでポリッシュする。
・ひどい場合には、水研ぎして、再塗装する。


ハガレ
 <原因>

・素材(バンパー、アルミ合金、防錆鋼板、一般鋼板など)に応じた表面処理の種類や足付けができていない。
・モールやエンブレムの周囲、塗装面の端の方、ドアハンドルの周囲などの旧塗膜や下地の足付け研磨が不十分。
・パテ付け、塗料吹付け前の清掃、脱脂が不十分。
・ボカシ際の足付けの前処理が不十分。
・下塗りと上塗り、または旧塗膜と上塗りの層間密着が悪い。

 <対策>

・素材に応じた表面処理や旧塗膜の足付け研磨をおこなう。
・塗装前の清掃と脱脂を十分にする。
・ボカシ塗装の際には、コンパウンドや#1000〜#1500ペーパーで処理する。
・下塗りから上塗りまで、同一メーカーの塗料を使用する。

 <処置>
・下地または金属面(素地)まで剥離してから、再塗装する。


チョーキング
 
 
チョーキング
 <原因>

・耐候性の弱い塗料を使用した。
・二液型塗料で、硬化剤の量を誤った。

 <対策>

・耐候性の強い塗料を使用する。
・二液型塗料では硬化剤の量を正確にする。

 <処置>
・軽い場合には、粉化部分に至っていない深さ(下の塗膜)まで研磨してから再塗装する。
・ひどい場合には、剥離してから再塗装する。


黄変・変退色
 <原因>

・耐候性の弱い塗料、または原色を使用した。

 <対策>

・耐候性の弱い塗料を使用しないようにする。
・厚塗り、リターダーの使いすぎなど、乾燥を遅らせた場合は、乾燥中に水分や排気ガスなどの影響を受けないようにする。
・ホワイト系にクリヤーコートする場合は、厚塗りを避ける。
・ガソリンキャップ周辺部は、特によく乾燥させておく。

 <処置>
・下塗り塗料(パテなど)の影響によるニジミによる場合は、原因塗膜を除去(研磨や剥離剤の使用)してから再塗装する。
・変色塗膜の状態がひどい場合は、剥離して再塗装する。
・変色塗膜の光沢が正常で、粉化状態になっていない場合は、変色していない深さ(下の塗膜)まで研磨してから、適切な原色や塗料を用いて再塗装する。

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